続きを書く。 サイレンススズカのスピードスターぶりは、いまさら書くことでもないのだが、この馬がスゴいのは「中距離馬でありながらスプリンター並みのスピードを持っていた」ことである。 競馬用語に「鈴をつける」というのがあるが、これは「逃げ馬に競りかけてペースを狂わせる」という意味である。 岡部幸雄氏はかつて「サイレンススズカに鈴をつけにいくのか?」という問いに「あの馬に鈴をつけるためには、G1級のスプリンターを用意する必要がある。鈴をつけるためだけに中距離のレースにその馬を出走させるのは非常識である。よって、サイレンススズカに鈴をつけるのは不可能だ」とコメントしている。 しかも主戦騎手であった武豊は「他の馬にとってはハイペースでも、あの馬にとっては普通」と語っている。 1000m57秒台で走るのが「普通」な馬、ということである。おまけにこの馬は、上がり3Fのタイムも差し馬と互角であった。 彼のベストレースである毎日王冠(98年)では前半1000mを57秒7で飛ばしながら、上がり3Fのタイムは最速だったエルコンドルパサーとほぼ同じである。 武豊はこれを「逃げて差す」と表現している。 武豊はこうも言っている。 あるインタビューで、「もし、あなたの体がもう1つあって、武豊&ディープインパクトに挑むとしたら、あなたはどの馬を選びますか?」という問いに「サイレンススズカ」と答えている。 「負けないと思える馬」だったそうだ。 この馬はノーザンダンサーの血を持っていない。 サイレンススズカが秋の府中で天に召された時、生産牧場の関係者たちは一様に頭を抱えたそうだ。サイレンススズカは種牡馬としてもそうとう期待されていたのである。 もし彼が存命なら、ディープインパクトやステイゴールドでなく、彼がサンデーサイレンスの最も有力な後継種牡馬になっていたかもしれない。 早世が悔やまれる名馬であった。
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