追い込み馬の話をもう1つ書く。
以前、岩田康誠について書いた時に、凱旋門賞でスミヨンが取った大外一気の騎乗を「絶対にやってはいけない乗り方」と書いたが、その大外一気を凱旋門賞でやってのけた馬がいる。
「80年代最強馬」とも「20世紀最強馬」とも言われる希代の追い込み馬、ダンシングブレーヴである。
86年の凱旋門賞の映像はYouTube等で見ることができるが、映像を見る限りダンシングブレーヴはどこを走っていたか、残念ながらよく確認できない。馬群が密集した状態で直線まで進んでいるから、ヘルメットの色から後方であることが辛うじて認識できるくらいである。
(この年は日本からシリウスシンボリが参戦しているが、はっきり言ってどこを走っているか全然分からなかった。それほど馬群が密集していたのだ)
最後まで馬群はバラけなかった。
ただ一頭、大外から突っ込んできたダンシングブレーヴを除いて。
まるで次元の違う末脚であった。
「他馬が止まって見える」とはこういうことを言うのか...冗談でなくそう思った。
ダンシングブレーヴがこの年獲得したレーティングは何と141!欧州で140以上のレーティングを獲得した馬はダンシングブレーヴと14戦全勝で引退した怪物、フランケルだけである。
ただし、ダンシングブレーヴのレーティングは後になって138に訂正されたので、現時点で欧州で140以上のレーティングを獲得したのは、フランケルただ一頭だけである。
ダンシングブレーヴが日本に輸入されたきっかけは、マリー病(鳥類特有の病気で結核の一種、稀に馬にも感染する)に冒されたためであるが、一説では日本に輸入(JRAが購入)されなければ、殺処分される可能性があったそうだ。
新降着ルール等でドタバタ続きのJRAだが、ダンシングブレーヴを購入して日本で種牡馬入りさせたことは、超ファインプレーであったと思う。
ダンシングブレーヴが日本に居なかったら、キングヘイローもキョウエイマーチも、メイショウサムソン(母の父がダンシングブレーヴ)も生まれてこなかったし、リファール系が日本に根付くこともなかったのだから。
以下の対応が可能です。
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