安藤勝己騎手が引退を表明した。 騎手生活36年、中央で1111勝、笠松時代の3299勝と合わせて4410勝もした名手中の名手が、ついに鞭を置くことになってしまった。残念の一言である。 アンカツさんが競馬界に残した功績はとてつもなく大きい。 地方競馬の騎手が中央に移籍できる道を切り開いたことが最大の功績であろう。 岩田康誠も内田博幸も小牧太も、アンカツさんがいなかったら中央の騎手として活躍することはなかった。先日、騎手免許の1次試験を突破して2次試験に臨む戸崎圭太も然りである。 アンカツさんが達成した記録の一つに「デビュー後、最短(30日)でのG1制覇」というのがある。 2003年の高松宮記念(ビリーヴ)がそうだ。 レース映像をあらためて見てみると、スタートダッシュを決めたビリーヴは、1番人気で連覇を狙うショウナンカンプに競りかけようか、というところで一旦下げている。 外目からも他馬が何頭か競りかけきているのを見たアンカツさんは、競りかけるふりをしてショウナンカンプのペースを上げさせてから他馬と先行争いをさせるように仕向る騎乗をしたのである。 「敵はショウナンカンプ1頭」と見極めた上で、他馬を使ってショウナンカンプを消耗させよう、という意図が見てとれた。 アンカツさんの思惑通り、消耗したショウナンカンプは直線半ばで脚を無くし、楽々と抜きさったビリーヴが見事に勝利したあのレースは、馬の実力を引き出した上で、完璧な戦略でライバル達を完封したアンカツさんの勝利でもあった。 このような緻密な戦略の勝利もあれば、地方競馬出身らしい剛腕を披露しての勝利もあり、ライバルを徹底マークして最後には捩じ伏せるような執念の勝利もあった。 アンカツさんはどんな乗り方もできた。そして勝ってきた。「達人」とはアンカツさんのことを指す言葉である。 普段は飄々とした所のある人だが、レースになるとビシッとして勝利をいくつももぎ取ってくるその姿は、時代劇にでてくる隠密のようでもあった。 プロ野球選手でいうと、「性格の良い落合博満」といったところだろうか。 調教師にはならずに、評論等の活動をしていくらしいが、できることならば競馬学校の教官として、その達人技を次代を担う若者たちに伝授してもらいたい、と私は思うのだが... とにかくアンカツさん、長い間お疲れ様でした(^-^)
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